禁煙外来とは
当院の禁煙外来は、主に喫煙習慣を止めたい人を対象にした専門的な治療となります。禁煙治療については、患者様の喫煙歴をしっかり把握したうえで、禁煙補助薬を処方します。さらに経過を観察しながら、生活指導を含めたアドバイスも適宜いたします。ご希望の方はお気軽にご相談ください。
一種の薬物依存である喫煙習慣
喫煙習慣は単なる嗜好ではなく、一種の薬物依存です。タバコはニコチンの作用がもたらす脳や身体への快感による依存(身体的依存)だけでなく、ホッとする、スッキリするといった気持ちの上での依存(心理的依存)も重なっています。そのため止めることは容易なことではありません。
つまり禁煙できないのは、単に意思が弱いからではなく、ニコチンのもつ強い依存性が原因であり、ニコチン依存症は治療が必要な病気でもあるのです。先にも述べましたが、禁煙外来であれば、医師のアドバイスと併せて禁煙補助薬を処方しますので、禁煙の成功率は大きく上がります。
主な禁煙補助薬
ニコチンを含まない禁煙補助薬
バレニクリン酒石酸塩が主成分の飲み薬(錠剤)
薬の主成分であるバレニクリン酒石酸塩は、「ニコチン切れ症状」(イライラ感や焦燥感など)を軽減するほか、タバコをおいしく感じにくくします。禁煙開始予定日の1週間前から服用し始めます(1日2回食後にコップ1杯程度の水またはぬるま湯で服用)。飲み始めの1週間はタバコを吸いながら服用し、8日目に禁煙を始めます(タバコを自然に吸わなくなったような場合は、8日目を待たず、早めに禁煙に入ります)。服用期間は通常、合計12週間です。途中で服用をやめたりせず、医師の指示どおりに服用を続けてください。
ニコチンを補給する禁煙補助薬
ニコチンパッチ(貼り薬)
ニコチンを含んだ貼り薬です。医師に処方してもらうタイプと薬局などで購入するタイプがあります。1日1回、上腕や腹部、腰背部などに貼ります。ニコチンは皮膚からゆっくりと吸収されます。かぶれを防止するためにも、毎日違う場所に貼ると良いでしょう。タバコにはニコチン以外にも一酸化炭素などの有害物質が200種類以上も含まれますが、ニコチンパッチにはニコチンしか入っていないので、タバコよりも安全です。
ニコチンガム
薬局・薬店で購入できるニコチンを含んだガムです。ガムを噛むと含まれているニコチンが口の粘膜を通して血液中に吸収され、禁断症状が緩和されます。1回の使用量は必ず1個とし、徐々に減らしていきます。ニコチンガムは医薬品ですので、噛み方は普通のガムとは異なります。正しく使わないと効果が現れないばかりか、逆に副作用を招く可能性もありますので、使用上の注意事項はきちんと守ってください。
禁煙治療は健康保険が適用されます
禁煙治療は、健康保険が適用されますが、治療を受けるには一定の要件があり、初回の診察で医師が確認(要件を満たさない場合でも「自由診療」で禁煙治療を受けることは可能)します。なお、健康保険で禁煙治療を受けられる方は以下の通りです。
- ニコチン依存症を診断するテスト(TDS:Tobacco Dependence Screener)で5点以上
- 35歳以上の方でブリンクマン指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上(例えば、25歳から1日15本喫煙している45歳の人なら、15(本)×20(年)=300であり、対象となります)
- すぐに禁煙したいと考えていること
- 医師から受けた禁煙治療の説明に同意し、説明内容に納得された時は、文書で同意(サイン等)すること
※過去に健康保険等で禁煙治療を受けたことのある方の場合、前回の治療の初回診察日から1年が経過しないうちは「自由診療」となります。